防火管理者に選任されたものの、「消防訓練は結局何をどれくらいやればいいのか」が分からず困っていませんか。
消防訓練は、火災発生時に従業員や利用者の命を守るための実践的な準備であり、消防法で定められた防火管理者の義務のひとつです。
この記事では、那須地区消防組合・那須地区消防本部が運用している訓練の実施回数、種類、事前手続きを、消防用設備のプロが分かりやすく解説します。
「何を、いつまでに、どう準備すればいいか」が分かれば、訓練の計画も立てやすくなります。
消防訓練とは?なぜ実施義務があるのか
📌 防火管理者が選任された建物では、消防訓練の実施が消防法上の義務です
消防訓練とは、火災などの災害発生時に迅速かつ的確に対応できるよう、消火・通報・避難の各行動をあらかじめ体験しておく訓練です。
学校・病院・工場・事業場・百貨店など、多数の人が出入り・勤務・居住する防火対象物では、消防法第8条に基づき収容人員の数で防火管理者を定め、消防計画の作成や、その計画に基づく消火・通報・避難訓練の実施を行わせることが義務付けられています。
つまり、防火管理者に選任された時点で、消防訓練の実施はあなたの法律上の責務になっているということです。
消防訓練の種類と実施回数
消防訓練には、主に次の4種類があります。
消火訓練
消火器や屋内消火栓を使用し、火災発生時の初期消火の手順を実際に体験する訓練です。
※弊社が立ち会った訓練では、水消火器を使用した際に、お客様が安全栓を抜いた後、誤ってレバーを握ってしまい、水を放出してしまった事例がありました。
また、屋内消火栓についても、実際に操作する機会が少ないため、いざという時に「使用方法が分からない」という声をいただくことがあります。
このように、実際に消火器や屋内消火栓を操作してみることで、普段は気付かない注意点や操作上の課題を確認することができます。火災発生時に慌てず、適切な初期消火を行うためにも、実際に体験することが重要です。
通報訓練
火災を発見した際に、消防機関へ正確かつ迅速に通報するための手順を確認する訓練です。
※弊社が立ち会った訓練では、実際に消防機関へ通報した際、「建物の名称や住所」「当日の従業員数」「逃げ遅れた人や負傷者の有無」など、多くの質問を受ける場面がありました。
実際に通報を体験した方からは、「想像以上に答えることが多かった」という声も多くあります。
火災などの緊急時には慌ててしまう可能性があるため、いざという時に落ち着いて正確に質問へ答えられるよう、日頃から必要な情報を確認し、通報訓練を行っておくことが重要です。
避難訓練
利用者・従業員を安全な場所まで避難誘導する手順を確認する訓練です。
※弊社が立ち会った訓練では、複数の方が避難誘導を行う際、それぞれが確認した場所を共有できておらず、同じ部屋を重複して確認してしまい、二度手間になってしまうケースがありました。
このような事態を防ぐため、確認済みの部屋は扉を開けた状態にしておくなど、どの場所を確認したのかが分かるような工夫をしておくことが重要です。
あらかじめ避難誘導の役割分担や確認方法を決めておくことで、火災などの緊急時にも効率よく、漏れなく避難誘導を行うことができます。
総合訓練
消火・通報・避難を組み合わせて、一連の流れとして実施する訓練です。
実施回数の目安
| 建物の用途 | 消火・避難訓練 | 通報訓練 |
|---|---|---|
| 特定用途防火対象物 (百貨店・飲食店・ホテル・病院・福祉施設など) | 年2回以上 | 消防計画に定めた回数 (年1回以上) |
| 非特定用途防火対象物 (事務所・共同住宅・学校・工場など) | 消防計画に定めた回数(年1回以上) | |
実施回数については、消防法施行規則第3条第10項に基づき、百貨店・飲食店・ホテル・病院・福祉施設など不特定多数の人や避難に配慮が必要な人が利用する「特定用途防火対象物」では、消火・避難訓練は年2回以上、通報訓練は消防計画に定めた回数(年1回以上)実施することとされています。
一方、事務所・共同住宅・学校・工場など「非特定用途防火対象物」では、消防計画に定めた回数(年1回以上)で実施するとされています。
訓練実施時の注意点|事前提出と保管
①訓練前に書類の提出が必要
防火管理者の選任義務がある特定防火対象物と非特定防火対象物は訓練前に、あらかじめその旨を消防機関に通報しなければならないとされています(消防法施行規則第3条第11項)。
「消防訓練等実施計画通知書」の書式で、実施日時・場所・訓練内容を事前に管轄の消防署へ提出する必要があります。
②訓練記録は保管しておく
訓練を実施したら、実施日時・内容・参加人数などを「消防訓練等実施結果報告書」で管轄の消防署へ提出し、保管しておくことが望ましいとされています。
立入検査の際に記録の提示を求められることがあるため、訓練のたびにファイリングしておくと安心です。
③命令に従わない場合は罰則の対象になることも
消防署から消防計画の変更命令や防火管理業務の適正な執行に関する命令が出され、それに従わなかった場合は、消防法第41条により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
訓練を1回怠っただけで直ちに罰則が科されるわけではありませんが、是正されない状態が続くと命令の対象になり得る点に注意が必要です。
訓練の進め方|準備から実施までの流れ
📌 「計画→通報→実施→記録」の4ステップで進めると抜け漏れがありません
- 消防計画に沿って訓練内容を決める:消防計画に基づき、消火・通報・避難、総合訓練の実施日時や訓練内容、参加者の役割分担などを決めます。
- 消防機関へ事前通報する:訓練の実施日時・場所・内容を記載した「消防訓練等実施計画通知書」を管轄の消防署へ事前に提出します。
- 訓練を実施する:従業員や利用者が訓練内容に沿って行動し、消火器の取扱い、119番通報、避難経路の確認などを行います。
- 実施結果を提出・保管する:訓練の日時・内容・参加人数等を「消防訓練等実施結果報告書」で管轄の消防署へ提出します。また、訓練を通じて気付いた課題などを記録し、次回以降の訓練内容の改善に活かします。
よくある質問(Q&A)
Q1. 消防訓練は必ず消防署の立ち会いが必要ですか?
A. 立ち会いは必須ではありません。事前通報をすれば、消防署の職員が確認や助言のために立ち会うことがありますが、基本的には防火対象物側で自主的に実施します。
Q2. 訓練を実施しないとすぐに罰則を受けますか?
A. 直ちに罰則が科されるわけではありません。消防署からの是正命令に従わなかった場合に、消防法第41条の罰則の対象となり得ます。
Q3. 従業員が少ない小さな店舗でも訓練は必要ですか?
A. 防火管理者の選任が必要な防火対象物に該当する場合は、規模にかかわらず訓練の実施が求められます。詳細は所轄の消防署にご確認ください。
Q4. 訓練の内容は毎回同じでもいいですか?
A. 法令上の制限はありませんが、季節や時間帯を変えたり、想定シナリオを変えたりすることで、より実践的な訓練になります。
Q5. 訓練の提出書類はどこで入手できますか?
A. 多くの自治体・消防本部がホームページで様式を公開しています。詳細は所轄の消防署にご確認ください。
まとめ|いざという時、「訓練していてよかった」と思えるために
火災は、いつ起こるかわかりません。だからこそ、いざという時に従業員や利用者の命を守るためには、日頃からの消防訓練が欠かせません。
消防訓練は、消防法第8条に基づき、防火管理者に求められている重要な義務です。特定用途の防火対象物では消火・避難訓練は年2回以上、通報訓練は消防計画に定めた回数(年1回以上)、非特定用途の防火対象物では消防計画に定めた回数(年1回以上)が必要となります。
また、訓練は「実施すれば終わり」ではありません。事前・事後の消防機関への書類提出や、訓練を通じて見つかった課題を記録し、次回の訓練に活かしていくことも大切です。
実際の火災では、迷っている時間はありません。「誰が通報するのか」「どこから避難するのか」「従業員は何をするのか」を、普段から確認しておくことが、被害を最小限に抑えることにつながります。
「何から始めればいいかわからない」「消防署への書類提出が不安」といった場合も、まずは専門業者へ相談することをおすすめします。
花塚防災にご相談ください
花塚防災では、消防訓練に関するご相談から、消防用設備の点検・施工・改修・メンテナンスまで幅広く対応しております。
対応エリアは、那須町・那須塩原市・大田原市を中心に、矢板市・塩谷町・さくら市・高根沢町・那珂川町・那須烏山市まで対応可能です。
「消防訓練、そろそろやらないと…」と思った今が、見直しのタイミングです。
消防訓練の進め方や必要な書類、消防用設備についてお困りの際は、ぜひ花塚防災へお気軽にご相談ください。