逃げ道が“ひとつだけ”の危険な建物?「特定一階段等防火対象物」とは
あの火災がきっかけだった

2001年、東京・新宿歌舞伎町で発生した雑居ビル火災。
44人の命が奪われたこの惨事をきっかけに、建物の避難安全性に大きな注目が集まりました。
特に問題視されたのは、「逃げ道が1つしかない構造」。
そこから生まれたのが、今回紹介する**「特定一階段等防火対象物(とくていいちかいだんとうぼうかたいしょうぶつ)」**という区分です。
どんな建物が該当するの?

簡単に言うと、
「地下や3階以上に不特定多数が利用する施設があり、避難用の屋内階段が1つだけ」の建物です。
🔍具体的には、こんな建物が対象になります
・地下1階に居酒屋があるが、階段が1つしかない
・3階に映画館やカラオケ店があり、非常階段がない
・一見階段が2つあるように見えても、壁や区画のせいで実質1つしか使えない
なお、1階と2階だけに特定用途がある場合や、屋外階段が設けられている場合は該当しません。
🧯特定一階段に必要な消防設備とは?

このような建物は、火災時に避難経路が極端に限られるため、通常よりも厳しい防火設備の設置が義務づけられています。
✅主な消防設備と規制内容
設備・措置
主な内容・基準
自動火災報知設備(自火報)
– 面積に関係なく建物全体に設置義務 – 再鳴動式受信機(警報音を止めても自動で再鳴動) – 階段には垂直距離7.5mごとに煙感知器を設置(通常の1/2の設置間隔)
特定小規模施設用自火報
延べ面積が300㎡未満の場合、特定小規模施設用自動火災報知設備(無線式等)の使用も可能
避難器具の設置
– バルコニー等に「一動作式」避難器具(開口部の開放と保安装置解除を除き、1つの動作で使用できるもの)を設置 – 使用方法や設置位置を明示した標識を設置
防火対象物点検
– 収容人数が30人以上であれば年1回の防火対象物点検報告義務 – 消防機関の立入検査、防火管理体制の強化も対象
そもそも、なぜこれほど厳しいの?

理由はシンプルです。
避難経路が1つしかないと、煙や炎がその通路を塞いだときに「逃げ場がなくなる」から。
だからこそ、火災を早期に感知し、スムーズな避難を助ける設備が必要不可欠になるのです。
私たちにも関係ある?
「あります。」
例えばあなたが利用する:
・地下のバーや居酒屋
・3階にあるカラオケボックス
・高層ビルのエステや福祉施設
こうした場所の構造を少し意識するだけで、もしもの時に命を守る行動が取れるかもしれません。
まとめ
特定一階段等防火対象物とは、火災時に“逃げ道がひとつしかない”建物。
そこには、命を守るための特別な防火設備と厳しいルールが課されている。
建物の「構造」は、見えないけれど大切な“命綱”です。
あなたが出入りするあの場所にも、“特一”のルールが関係しているかもしれません。
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