特小自火報って知ってますか?コンパクトでも頼れる火災対策の新常識

特定小規模施設用自動火災報知設備(以下「特小自火報」)は、従来の自動火災報知設備よりも簡易かつコンパクトに設計された消防設備であり、特に小規模施設(グループホーム・小規模宿泊施設など)での早期火災発見と迅速な避難誘導を目的としています。近年の消防法改正により、より多くの小規模施設において設置が求められるようになった背景があります。本記事では、法改正の概要と設置基準を中心に解説します。

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1.特小自火報の導入の背景と概要

火災画像

1-1. 小規模施設における火災リスクへの対応

 高齢化社会の進展や多様な宿泊施設の増加により、小規模なグループホームや簡易宿所(民泊等)などの利用者が増えています。これらの施設では、高齢者や障がいのある方、子どもなど避難行動が困難な方が多い場合があります。一方で、従来の自動火災報知設備は大規模施設向けの基準で設置が求められることが多く、設備・工事費用の負担が大きいことが課題となっていました。

1-2. 法改正による特小自火報の位置づけ

こうした状況を踏まえ、消防法や消防法施行令、消防法施行規則などにおいて小規模施設への火災報知設備設置義務の強化や要件緩和に関する改正が行われ、特定小規模施設用自動火災報知設備(特小自火報)が制度化・明確化されました。
 
・設置義務の範囲を拡大し、高齢者や要援護者が多く利用する小規模施設でも火災報知設備を導入しやすくする。
・工事や機器構成の簡易化を認め、従来の設備よりも低コストかつ短期間で設置可能にする。
 
このように、法改正により「安全確保の強化」と「設置負担の軽減」の両立が図られるようになったのが特小自火報の導入背景です。

2. 特小自火報の設置基準について

小規模施設においてその特性に応じ必要な機能を確保しつつ、簡易に設置することができる特定小規模施設用自動火災報知設備(以下「特小自火報」という。)の基準が平成20年に定められました。
また、現在までに特小自火報の設置可能施設も設置義務拡大に伴って順次追加されました。具体的には以下の設置基準が挙げられます。

設置対象となる施設

(1).以下の建物用途かつ延べ面積300㎡未満のもの
(2)項二…カラオケボックス等
(5)項イ…ホテル・旅館・宿泊所等
(6)項イ⑴~⑶…病院・有床診療所(利用者を入居させ、又は宿泊させるものに限る。)
(6)項ロ…自力避難が困難な者が入所する福祉施設等
(6)項ハ(利用者を入居させ、又は宿泊させるものに限る。)…⑹項ロ以外の有料老人ホーム等
(入居・宿泊させるものに限る)
(9)項イ… 蒸気浴場(延べ面積が200㎡以上のもの)
(13)項ロ…飛行機またはヘリコプターの格納庫
(17)項… 重要文化財

(2).小規模特定用途複合防火対象物

・消防法上で(16)項イに分類される複合用途防火対象物(例:雑居ビルなど異なる用途が広がる建物)であり、かつ上記⑴の用途部分を含む、延べ面積が300㎡以上のもの。
・(2)項または(3)項に該当する防火対象の地階または無窓階において、その用途に使用される部分の床面積の合計が100㎡以上のもの。 ※(2)項イ:キャバレー等、ロ:遊技場等、ハ:性風俗店舗等、ニ:カラオケボックス等、(3)項イ:料亭等、ロ:飲食店等。
・防火対象の地階または2階以上の階で、駐車スペースを有する階(すべての車両が同時に屋外へ出られる構造の階を除く)に関して、該当部分の床面積が200㎡以上300㎡未満のもの。

(3).民泊を含む共同住宅で延べ面積が300m²以上500m²未満

(5)項イ 旅館・ホテル・宿泊所等(※民泊を含む)および(5)項ロ 共同住宅以外の用途に供される部分が存せず、かつ(5)項イ 旅館・ホテル・宿泊所等(※民泊を含む)部分の床面積が300m²未満のもののうち、延べ面積が300m²以上500m²未満のもの。

3.特小自火報と住宅用火災警報器の違いとは?

特小感知器と住宅用火災警報器は見た目が似ていますが、それぞれ用途が異なりますので、ご説明いたします。
 
特小感知器
・設置対象:小規模な飲食店、店舗、旅館、共同住宅の一部など、消防法で「特定小規模施設」として定められた一定の防火対象物に該当する場所。
・機能:連動型であり、建物全体で火災を監視・警報する。
・法令:消防法により、6ヶ月に1回の定期点検および1年に1回の報告が必要。
 
住宅用火災警報器 
・設置対象:一般住宅(戸建て住宅、マンション、アパートの住戸内)。
・機能:単独型(個々に作動する)及び連動型がある。
・法令:専門業者による点検義務はなく、住民自身が定期的にチェックする必要がある。
 
注意すべきこと
住宅用火災警報器のほうが安価なため、特定小規模施設で使用したいと考える方もいるかもしれません。しかし、設置対象・機能・法令の面で全く異なるものであるため、安く済ませようと購入しても、結果的に買い直しが必要になる可能性があります。設置の際は十分に注意が必要です。

4. 最新!特小自火報の法改正について

消防法の本
令和6年7月に特定小規模施設用自動火災報知設備(無線式の自動火災報知設備)の設置基準が緩和されたことに関して総務省消防庁より通知がありました。今回の法改正によって変わった点をご紹介致します。
 
1.特定一階段等防火対象物にも特小自火報の設置が可能に屋内階段が1本しかない戸建てやマンションの3階以上に民泊用の部屋がある場合、消防法上「特定一階段等防火対象物」に該当し、これまでは「特定小規模施設用自動火災報知設備(特小自火報)」の設置が認められていませんでした。
今回の法改正により、「特定一階段等防火対象物」にも特小自火報の設置が可能となりました。
 
2.民泊部分が10%を超えたマンションにも設置が可能にマンションなどの一室を民泊に用途変更する際、建物全体の面積が300㎡以上500㎡未満で、民泊部分の面積がマンション全体の面積の10%以下でなければ、これまでは特定小規模施設用自動火災報知設備の設置が認められていませんでした。
今回の法改正により、民泊部分の面積が全体の面積の10%を超えていても、特定小規模施設用自動火災報知設備の設置が可能になりました。
 
注意すべき点
今回の法改正により設置基準が緩和されましたが、それに伴い、緩和を適用するための以下の条件が追加されました。
 
1.新基準の感知個の設置
今回の改正により、特定小規模施設用自動火災報知設備の設置が認められた特定一階段等防火対象物および警戒区域が2以上の建物については、火災の発生した警戒区域を特定できる**連動型警報機能付き感知器(※新感知器)**を設置する必要があります。
 
2感知器の設置場所
今回の改正により、特定小規模施設用自動火災報知設備の設置が認められた特定一階段等防火対象物および警戒区域が2以上の建物については、以下の赤文字の場所にも感知器の設置が追加で必要になりました。
・居室
・2㎡以上の収納・倉庫、機械室その他これらに類する室
・階段
・廊下
・EVシャフト
・パイプスペース・ダクトスペース

まとめ

特定小規模施設用自動火災報知設備(特小自火報)は、近年の消防法改正により、小規模施設への設置義務が拡大されました。従来の設備よりもシンプルな構成ながら、火災を早期に検知し、警報を発する仕組みとして注目されています。

費用や工期の負担を軽減しつつ、法律で求められる安全基準を満たせる点が大きなメリットです。しかし、施設の規模や用途によって設置義務の有無は異なるため、必ず消防署や消防設備業者に確認し、適切な機種を選定・設置しましょう。さらに、導入後は定期点検やメンテナンスを怠らず、常に設備を万全な状態に保つことが、利用者の命を守るために欠かせません。

花塚防災では、これまでに**施工実績100件以上**を誇り、宿泊を伴う小規模施設に必要な各種届出の作成から、施工、検査立会い、営業開始後の保守点検まで一貫して対応しております。「何をすれば良いかわからない」「消防署への手続きが不安」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
私たちの対応エリアは、那須町・那須塩原市・大田原市を中心に、矢板市・塩谷町・さくら市・高根沢町・那珂川町・那須烏山市にも広がっています。消防用設備や防火設備でお困りの際は、ぜひ花塚防災にお声がけください。安全で愛される施設づくりを全力でサポートいたします!

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