もしもの時に差がつく!福祉施設で欠かせない消防用設備と実践的対応策

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近年、高齢化社会の進展や障がいを抱える方々の増加に伴い、福祉施設の役割が一段と重要視されるようになりました。そんな大切な場所だからこそ、火災が起きたときのリスクを最小限に抑え、利用者や職員を守るための消防用設備が欠かせません。この記事では、「福祉施設(6項ロ 老人短期入所施設等・6項ハ 老人デイサービス等)にどのような消防用設備が必要なのか」をご紹介します。

1. なぜ福祉施設には特別な防火対策が必要なのか?

1-1. 自力避難が難しい利用者が多い
 
福祉施設には、高齢者や障がいをもつ方など、緊急時に自力での避難が難しい利用者が多くいらっしゃいます。通常の建物に比べ、職員が利用者をサポートしながら避難誘導を行うケースが多いため、迅速な初期消火と火災の拡大防止策がとても重要です。
 
1-2. 長時間滞在・宿泊型が多い
 
特別養護老人ホームや障害者支援施設など、多くは入所型で24時間利用される施設です。夜間に少人数の職員で対応しなければならない場合もあり、万が一火災が発生した際は早期発見と速やかな避難誘導が求められます。

2.福祉施設(6項ロ 老人短期入所施設等・6項ハ 老人デイサービス等)で求められる代表的な消防用設備

2-1. 自動火災報知設備
 
自動火災報知設備は、火災時に出る煙や熱を感知し、警報を鳴らす装置です。建物内にいる全員が火災発生を素早く把握することで、初動対応や避難誘導が速やかに行えます。
※6項ロ 面積関係なく設置が必要となります。
※6項ハ 延べ面積300㎡以上に設置が必要となります。(利用者を入居させ、又は宿泊させるものに限っては延べ面積に関係なく設置が必要となります。)
 
2-2. 消火設備(消火器・屋内消火栓・スプリンクラー)
 
1.消火器: 最も身近な消火設備です。使い方が簡単である反面、使用時には利用者の避難経路を確保したうえで操作する必要があります。日頃から職員が訓練しておくと有事の際にスムーズに使用する事が出来ます。
※6項ロ 面積関係なく設置が必要となります。
※6項ハ 延べ面積150㎡以上で設置が必要となります。(地階・無窓階・階の規模によって面積が異なります。)
 
2.屋内消火栓: 水源を使って火を消す設備で、大きな火災や消火器で対応しきれない場合に活躍します。取り扱いには訓練が必要なので、定期的な訓練やマニュアル整備が重要です。
※6項ロ・ハ共に延べ面積700㎡以上の建物に設置が必要となります。ただし構造が準耐火・耐火・階の規模・地階・無窓階では面積が異なります。
 
3.スプリンクラー: 火災を自動で感知し、直接散水して鎮圧を試みる設備です。人が気づかないうちに火を抑えるため、火災拡大防止に非常に有効で、特に福祉施設のように初動が遅れがちな場所では導入が強く推奨されます。
※6項ロ 原則面積に関係なく設置が必要となります。ただし、火災発生時の延焼を抑制する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有するものを除く、介助がなければ避難できない者として総務省令で定める者を主として入所させるもの以外のものにあっては、延べ面積が275㎡以上のものに設置義務があります。
※6項ハ 6000㎡以上の建物に設置が必要となります。(平屋建てを除く)
 
2-3. 誘導灯・非常口表示
誘導灯は、停電などで辺りが暗くなったときに避難経路を示す重要な設備です。非常口の位置だけでなく、必要に応じて床面や腰壁にも誘導標識を設置することで、視認性を高め、安全な避難をサポートします。
※6項ロ・ハ 面積関係なく設置が必要となります。
 
2-4. 非常警報設備・非常放送設備
火災発生時に館内放送や非常警報を素早く行うことで、利用者や職員が落ち着いて行動できるように誘導します。特に夜間などスタッフが少ない時間帯には、自動で警報やアナウンスが流れるシステムがあると安心です。
※6項ロ・ハ 収容人員が20人を超える場合、非常警報器具の設置が必要となります。(地階・無窓階の場合は非常警報設備の設置が必要です。)また、収容人員が300人を超える場合は非常警報設備(放送設備付加)の設置が必要となります。
 
2-5. 消防機関へ通報する火災報知設備
火災を発見した際には、火災通報装置の火災通報ボタンを押すことで消防署へ連絡が届く仕組みになっています。
また自動火災報知設備と連動している場合は、感知器が火災を検知 → 火災通報装置が自動で消防に通報をします。
※6項ロ 面積に関係なく設置が必要となります。また自動火災報知設備と連動が義務付けられます。
※6項ハ 500㎡以上の建物に設置が必要となります。

3. いざというときのための備えと工夫

施設説明
3-1. 防火管理者と職員の教育
 
設備を整えていても、使い方が分からない・緊急時の対応がスムーズにできないと宝の持ち腐れです。定期的に消防訓練を行い、いざというときの初動対応や避難誘導の流れを全員が理解しておくことが大切です。福祉施設では、消防法に基づいて消防訓練や避難訓練を行うことが義務付けられています。
消防法施行規則第3条第10項により、6項ロ(老人短期入所施設等)・6項ハ(老人デイサービス等)に分類される防火対象物の防火管理者は、消火訓練および避難訓練を年2回以上実施することが義務付けられています。また、通報訓練については、消防計画に定めた回数の実施が求められています。
 
3-2. 避難経路と動線の確保
 
日常的に廊下や通路に物を置いてしまうと、いざ避難が必要になったときに大きな障害となります。日ごろから通路を整理し、車いすや歩行器で通れる広さを確保しておきましょう。
 
3-3. 消防用設備の定期点検
 
消防用設備は設置して終わりではなく、6ヶ月に1度の消防用設備点検が必要となります。誤作動や故障が起きていないか、錆びなどの劣化がないかなど、専門家による点検を怠らないようにしましょう。また、点検時に不良が見つかった場合不良箇所の改修工事も重要です。
 
3-4. 利用者への防災意識啓発
 
職員だけではなく、利用者自身も「どこに避難口があるのか」「火災発生時はどこに避難するのか」を把握しておくことが大切です。ポスターやパンフレット、避難訓練などを通じて、わかりやすく周知すると安心感が生まれます。

まとめ

福祉施設にとって、消防用設備の導入や管理は一種の“保険”ではありません。むしろ利用者の命を守り、安心・安全な施設運営を支える“必須の設備”です。
自動火災報知設備やスプリンクラーなどの設置、職員の教育、利用者への周知など、日頃からの準備と点検を欠かさないことで、いざというときの被害を最小限に抑えられます。
利用者にとっては“第二の家”ともいえる福祉施設。安全面がしっかりしていることで、より豊かな生活を支えることができます。
ぜひ定期的な点検や訓練を行い、万全の体制を整えておきましょう。福祉施設は「人を支える場所」であると同時に、「人の命を守る場所」であることを忘れないことが大切です。

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